愛知県にあるデザイナーズマンションにお住まいのクライアント様からいただいたお問い合わせから始まりプランなどリノベーション計画を立て、施工会社の選定をし工事着工。そして竣工(引渡し)までの流れを以下にまとめています。
マンション
家族構成 御夫婦と子供2人の4人家族
ご要望
  • 部屋数が多い
  • LDKが無駄に広いからまとめてほしい
  • WIC(ウォークインクローゼット)がほしい
  • 全体的にもっとオシャレにしてほしい
  • キッチンにこだわりがある
リノベーション費用 907万円
工期 67日

マンションのリノベーション計画の流れ

ムダが多い間取りのため生活しにくい。最初の問い合わせでは、このようなことが記載されていました。

最初はムダが多い間取りと書かれていたので、築30年ほどのマンションだろうと考えていました。

間取りや現状の状態を把握しようとまずは、資料と返信用の封筒をお送りし5日ほどして返信用の封筒が届き図面と写真が入ってあったので拝見。

築30年程度と予想していたので綺麗な打ちっぱなしの内壁を見て驚きました。

きれいな現状の状態に驚きましたが、間取りにはさらに驚かされました。「無駄が多い」というクライアント様のご意見に納得。コンクリート打ちっぱなしなので設計者はこだわりがあるのかなと思いました。
図面と写真・要望が記載された用紙をもとに早速プランニングに取り掛かろうとしましたところ、手紙が同封されており間取りの打ち合わせをしたいため、マンションに来て欲しいと記載されていました。

当サイト(リノベーション・リフォーム見積お役立ち隊)では、初めて問い合わせる会社の人を自宅に呼ぶというのは、クライアント様にとって非常に大きな心理的な不安を持たせることから、まずは手紙やメールなどでやり取りし、クライアント様に「信頼できる」「安心できる」と納得していただいた後に工事計画を具体的にしていくスタイルをとっています。

このため問い合わせ後にすぐにクライアント様のご自宅に向かうということはないのですが、クライアント様のほうから自宅を見てほしいと言われた時には当サイト管理人の私(前田英明)か建築士免許を持ち経験ある人がクラアイント様のご自宅にお邪魔しお話を聞きに行くことになっています。まずは日程の調整をし打ち合わせする日を電話でやり取りし決めました。

現状の確認

約束した日になり、クライアント様のマンションに行きました。外壁も打ちっぱなしで仕上げられており、オシャレなマンション。

内部の共用部はきれいに仕上げられており勉強になりました。

クライアント様御夫婦は40代の方なのですが、お二人共すごく若々しい。ご挨拶した時、本当に40代の方なのかと疑ってしまいました。クライアント様も私を見てびっくりしたそうです。

私自身、クライアント様と変わらないのですが「20代ですか?」と言われショック。建築業界では、【若い=頼りない】と見られがちで初めてやり取りする施工会社の社長さんの中には、具体的な工事計画の話をし、経験があると分かってもらって話し方や態度が急に変わるという方もいます。なので若いと言われるのは、ガクっときます。

このような笑い話をした後、頂いた図面と現状の間取りに食い違いがないか寸法取りをし間取りについて色々とお話をしました。

お話を聞いていてご自身で色々と勉強なさっているのだなと感心しました。

しかし、間取りを考えてはみたものの、どのように空間をまとめていけばいいのか分からないと言っていました。

間取りを変更したいなどご要望がある程度決まっていても、最終的にどのようにまとめていけばいいのか分からないというのが多くの人に共通していること。

空間を上手に構成できるかが設計者の力の見せどころ。

とは言っても、木造住宅のリノベーションとは違ってコンクリート造のマンションであるため撤去できない間仕切り壁があり全ての間取りを変更することはできません。撤去できない壁を残しながら要望に沿った間取りを考えるという方向性になります。

リノベーションプランの作成

キッチン・浴室・洗面脱衣室の間仕切り壁がコンクリートでできているため残し、LDKと寝室の間取りの変更そして、WIC(ウォークインクローゼット)を設け、寝室は3つ。

御夫婦の寝室にはご主人が自宅でも仕事ができる書斎を設けてほしいと言われ、どのようにおリノベーションプランをまとめようかすごく悩みました。

現状のマンションの大きさに対してどのように寝室を3つ設けLDKの間取りを変えるか。窓の位置が決まっているため、それに合わせて間仕切り壁を設けなければいけない。各部屋のクローゼットとWIC(ウォークインクローゼット)を新たに設ける。

全ての間仕切り壁を撤去することができれば、プランしやすいのですが残さなければいけない壁があるため余計にプランしにくい。
ちょっとだけ「無理」という考えが頭に浮かびましたが、長年プランニングをこなしてきた経験からか直感で「空間をうまく構成できる」と感じ色々とプランを練り直しました。
この案件以外にもプランを練っている最中の案件や工事中の案件があり、複数の案件をこなしながらであるため大変ですが、複数の案件のフランを考えることによって頭がリフレッシュされるのと同時に色々な発想が生まれやすくなり今回も上手く方向性が決まりました。

まだ細かい部分は修正していかないといけませんが、方向性としてどうかをもてもらおうと図面を作成しクライアント様にみてもらいました。

クライアント様と何度か意見の交換をし大きな流れは掴むことができた実感しました。ただ、クライアント様の考えと違うところがいくつかあったので、その部分の考えやイメージなどをさらに具体化し訂正を何度か加えました。訂正した後に確認を何度か繰り返していくことでプランがより要望に近いものに仕上がっていきます。その結果「OK」の返事をいただき概算見積用の図面作成へと進めていきました。

概算見積の依頼

リノベーション・リフォーム見積お役立ち隊では、クライアント様の住所や名前を伏せた状態で複数の施工会社(工務店・建設会社)に概算見積や予算について提案を求めることができます。

そして、施工会社から帰って来た内容をご覧になり疑問などあれば、当サイトを通してやり取りする流れとなっています。
まずは概算見積用の図面を作成し、できた図面をクライサント様に見ていただき、抜けなど問題がなかったので5社の施工会社に図面と要望に関する書類を送付しました。

図面と書類郵送後、1週間ほどで全ての施工会社から概算見積書や提案内容が記載された書類が届きました。

この概算見積と提案内容は当サイトも確認しクライアント様に伝わりにくい内容のものであれば分かりやすいように内容を付け加えたり、内容不足の時には当サイトから質問しまとめています。

概算見積の金額

お聞きしていた予算は、850万円~900万円。

出てきた5社の概算見積を平均すると970万円。

どの案件でも工事場所や仕上げの詳しい情報などがまだハッキリとされていない段階なので概算見積では大きくでますが70万円のオーバーは多い・・。

ただ、減額案を考えるにしてもそれほど大きく変更しなければいけないところまではいってないので、現地調査後の正式見積で様子を見ることにしました。

現段階では、5社から送られてきた見積書と提案の書類を見て、クライアント様が疑問に思うことや詳しく知りたいことを当サイトを通して施工会社に質問。その質問に対し施工会社から回答をもらいます。

(このやり取りは当サイトも確認しています。また。質問は回数に制限はなく何度でも納得するまで質問することができます)

施工会社と何度かやり取りした後は、現地調査のためクライアント様のご自宅に呼ぶ施工会社を2~3社に絞り込みます。

今回は5社から概算見積をとりよせています。5社とも現地調査のためご自宅に呼ぶのもありですが、あまり多いと最終的にどこに工事を依頼するかに悩んでしまいます。

施工会社の絞込みと現地調査

各施工会社の規模や信頼性・見積費用・提案内容などを比較し直接会って話をしてみたいと思う会社を3社に絞込みました。

次に現地調査へと進むのですが施工会社の絞込み後、その会社にクライアント様の住所と名前をお伝えし、現地調査の日程を決めます。

現地調査は1社ずつ行います。

今回は3社に絞り込んだので現地調査に割り当てる日程を3回設けてもらいます。

(1回の現地調査に要する時間は目安として2時間と考えておくといいでしょう)

この現地調査では、クライアント様の要望が図面に現れているかを確認。

そして図面の通りにリノベーション工事を進めることが可能かを現状の状態を目視で確認。図面と現状の間取りに寸法の違いがないかなどを確認します。

概算見積で分かりにくい所や細かく知りたい所などあれば、現地調査の時に聞くといいでしょう。

  • 質問に対しどのような答えを返すか
  • 会話しやすいか(相性があいそうか)
といったやり取りも工事を依頼するかを決める重要な手がかりとなります。
破壊検査について
マンションの場合は、水回り設備機器(キッチン・トイレ)の移動を検討している場合、移動が可能か床や壁を壊してみないと分からない事があります。

破壊検査をするか・しないかで契約後の工事に大きく関わってくることがあります。

例えば、設備機器を移動する方向でプランを固め、見積金額が予算内であれば契約へと進むわけですが、壁や床を解体した後に移動することができないと判明することがあります。契約前に移動できるかを確認した後、移動ができると分かった後で契約を交わし工事へと進めるほうがスムーズに工事計画を進めることができます。「解体してみないと移動できるか分からない」と施工会社の方が判断した場合には、破壊検査を考えたほうがいいでしょう。(ただ、破壊検査によって生じた壁や床の損傷の修繕費用はクライアント様ご負担となります。)

正式見積

プランを考えている側としては当然、見積金額が予算に近ければ近いほどホっとします。かけ離れていると調整のプランを考えるのが大変。

(腕の善し悪しは、こういう調整の時にどう対処するかで現れるのですが・・・)
今回は3社に正式見積を依頼したのですが、最も安い金額は910万円が1社。残りの2社は940万円でした。

クライアント様は現地調査の時、直接会って会話をした時点で工事を頼む会社はココがいいと具体的に決めていたと言っていました。なので正式見積を見て予算に近い金額と知り依頼先を1社に絞込みました。

ただ、940万円の工事金額を予算内にしてほしいというクライアント様の希望から調整案を考えることになりました。

当初はLDKと寝室との間の壁を少しR(曲線)にしていましたが直線の壁に変更。この案で調整をお願いした結果、出てきた金額が907万円。

クライアント様に納得して頂きました。

大抵の場合は現地調査後、2社もしくは3社の正式見積を見た後、減額調整であったり1社に絞り込むのに悩むことが多いのですが、今回はスムーズに決まりました。

  • 会社の信頼性
  • 直接会ってのやり取り(相性・提案内容・質問に対する分かりやすい回答)
  • 正式見積金額
この3つがクライアント様とマッチするとすごくスムーズに決まるものだなと思いました。

最も安い見積金額(910万円)の会社や、もう1社にしても会社の信頼性や提案内容・見積金額はクライアント様に響くものがあったと思います。

しかし最終的にやり取り(相性)で決まったのだなとクライアント様と話していて思いました。

今回は残念な結果となった施工会社の社長さんに断りの電話を。

正式見積が出るまでの過程で何度も色々とやり取りをし、要望に対する優れた提案内容だけでなく、姿勢や人間性など分かっているため、いつもこの電話は緊張します。
契約前の確認は一番重要!

正式見積で納得していただいた後はご契約へと進むのですが、正式見積提出時に施工会社さんのほうから図面と見積の内訳内容の説明があります。

「どういった工事を依頼したのか」をここで確認します。この確認が非常に重要なので、細かく説明を求めてください。また分からないことは遠慮せずになんでも聞いてください。説明の仕方ややり取りも工事を依頼するかどうかの判断基準にもなります。

このため正式見積を受け取る時には2時間~3時間は時間を作っておいてください。また、奥様もしくはご主人の内一人だけではなく御夫婦でご確認するようにしてください。契約後の工事の依頼は追加となります。

ご契約⇒リノベーション工事の準備⇒着工

ご契約前は当サイト(リノベーション・リフォーム見積お役立ち隊)が主導し動いていましたが契約後は工務店や建設会社が主導し工事計画が進められます。

ご契約の時に工程表が手渡されます。

この工程表には着工から竣工までの工事の流れが記載され材料などの発注は、この工程表をもとに行われます。

近隣への挨拶は施工会社の担当者が着工前の準備期間に行います。この近隣への挨拶は施工会社に任せる方もいらっしゃいますがこれからのお付き合いも考えクライアント様も挨拶に廻ることをおすすめしています。

(マンションによっては管理組合への届け出が必要な場合があります。)

着工前の準備期間に仕上げの材料や設備機器を発注するため決めていきます。(塗装やクロスなど壁や天井などの仕上げ材料は、施工会社の担当者から現物サンプルが届けられます。)

準備が問題なく進むと着工へと進みます。
マンションや住宅など住まいの内部を大きく変えるリノベーションの場合、住みながらの工事はおすすめしません。マンションは尚更です。

工事期間中は仮住まいへ引越ししていただくことになります。

工事の見積の時には仮住まいの家賃や引越し料金も必ずチェックしておきましょう!多くのクライアント様は現地調査の時に施工会社に仮住まい先や現場に残しておいても大丈夫な荷物などについて質問しています。

着工後、解体工事で3日。資材を搬入し本格的に工事が開始されるのは着工から4日後なので次の日の5日後に現場を見に行きました。

解体撤去が済んでおり、墨出しを終えて壁下地をこさえている最中でした。解体後の現場を見ていつもきれいに撤去されていることにさすがプロだなと感心し驚かされます。

竣工引渡し

工事は問題なく進行し67日で完成。

竣工検査のため現場に向かいました。この完了検査はクライアント様と施工会社の担当者(社長さん)と私で行い傷などないかを確認。キッチンやトイレなど設備機器を交換した時には、この時に取り扱い説明を受けます。

プランが形になりその状態を確認するのは感動するのと同時にすごく緊張します。

いつもこの感覚ですごく新鮮な気持ちになります。

竣工検査で問題なければ、引渡しとなり工事は終わりとなります。

(工事は引渡しと同時に終わりますがアフターケアなどには施工会社が対応します。これから工事契約をされる方はアフターケアについてしっかりと施工会社に聞いておいてください。)